死神と私
そういえば兄と姉帰ってこないなぁ…。すごい心配なんだけど。

まぁ良いか。あの御馬鹿兄弟は明日の夜に帰ってくればいいや。うん。

そして三時半にさしかかった頃,やっと水香にも睡魔が襲ってきた。

「ね・・・むい」

「え 早!うちなんてまだまだ平気だよっ!」

元気そうに言うミズキ。

のろのろと起き上がって電気を消して小さいランプを持ってきて電気をつける。

すると階段から「トン...トン」と階段から誰かが上がってくる音がした。

兄貴たちかな,と思ったが違う。




不陰気が違うのだ。




殺気に満ち足りた空気がこちらへ近づいてくる。


「クスクスクス....」


あの不気味な笑い声までが近づいてくる。

あいつだ。


死神。


ミズキは固まったまま何も言わない。

私も怖くてミズキに抱きついた。

段々足音が近づいてくる。

死にたくない。やだ。まだ死にたくない。

水香はミズキと一緒に毛布の中に潜り込んだ。


するとキィッとドアが開く音がした。

一気に鳥肌が立つ。


すると突然バッと誰かに毛布を取り上げられてしまった。私は小さな悲鳴を上げてミズキに再び抱きついた。

毛布がぁ…毛布…がぁ…。

半泣きで震えている水香。ミズキはよしよしと頭を撫でてくる。

そしてランプの電気が突然「ブチンッ」と音を立てて消えてしまった。




良く見ると黒い物体がこちらを見下ろしているのが分かった。
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