ラブ・ストーリー～可愛くない女～

「それから山下さんは、ご両親に一切逆らうことなく、お父様の後継者として忠実に生きてきたそうです。でも‥ずっと気がかりになっていたことがあったそうで‥。」


こんなツラい話に、まだ続きがあるのかと‥私は何とも言えない気持ちで、康介さんが作ってくれたマルガリータを見つめた。


「保育士になることは‥お姉さんの夢だったそうです。」　


‥そうか‥そうだったんだね。


正直は‥お姉さんの夢を叶えるために‥ご両親に逆らって保育士になったんだね‥。


謎に包まれていた部分が繋がっていく。


「山下さんがマルガリータを飲むのは‥お姉さんを自分のせいで亡くしてしまった罪を‥忘れないようにするためだそうです。」


‥もう止まったはずの涙が‥またポロポロと溢れてきた。