ラブ・ストーリー~可愛くない女~
背の高い正直の姿が‥まるで幼い少年が頭を下げているように見えて‥。


私は慌てて正直の隣に駆け付けた。


「もうやめて?こんなこと‥お姉さんは望んでないよ!」


震える正直の肩に、私はそっと手を置いた。


「‥お姉さんは‥恵美さんは言っていたんでしょ?“笑顔でいてね”って。恵美さんは全力で正直の命を守ってくれたのに‥こんなの悲しすぎる。」


私の涙腺はもう抑えられず、大きな涙の粒をポタポタと落とした。


私は困惑した表情の正直のお父さんをもう一度真っ直ぐ見た。


「‥どうか‥お願いします‥。私は‥もう二度と正直に会いません。だから‥だからもう‥許してあげて下さい‥。」


私は静かに頭を下げた‥。
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