ラブ・ストーリー~可愛くない女~
「‥親父さんは‥。」


黙っていた弘志さんが静かに口を開いた。


「‥親父さんはみゆきさんに店を継いで欲しいんですよ‥自分にも昔からよく言っていましたから‥。」


ふと幼い頃の自分とお父さんの会話を思い出す。


確かにお父さんはそんな話をしていた。


「でも、ここまで店を守ってきたのはお父さんと弘志さんでしょ?」


私は、少し困ったように微笑む弘志さんを真っ直ぐ見た。


「‥どうか、親父さんの夢を叶えてやって下さい。」


弘志さんは深く頭を下げた。
< 276 / 293 >

この作品をシェア

pagetop