Dreamers-夢物語-


「海東は成瀬の隣な。成瀬、海東の面倒頼むぞ!それじゃ、HRを終わる」


「ちょ、ちょっと待て下さいよ!なんで自分なんですか!学級委員がするべきです!」


あたしは勢いよく立ち、ドアを開けようとした担任に声をはった。
静まり返っていた教室は次第にザワザワし始め、五月蠅くなる。
担任は振り返り笑顔でこう言った。


「お前は面倒見がいいからだ☆頼んだぞ♪」


そう言い残し教室を出て行った。
唖然とするあたしに蘭ちゃんは近付いて、ポンッと肩に手を置いた。
言われなくてもわかる。
諦めな…そう言われてる。
あたしは大きな溜め息をつき、席に座った。
苦笑いした蘭ちゃんも授業の準備をするため、ロッカーのある廊下へと出て行った。
クラスは何もなかったかのように、いつもと変わらずの風景。
誰か世話係を変わってほしいものだ。


「…よろしく♪」


席に来た転校生はさっきと変わらない笑顔で微笑んできた。
この笑顔でどれだけの女をひっつかまえるんだか。


「成瀬、士…よろしく」


とんでもない奴がきてしまった……。


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