Dreamers-夢物語-
元気のいい店員がメニューを聞きにきたので、アイスコーヒーだけを注文した。
数分しないうちにすぐに出された。
あたしは窓の外を見つめた。
人と人が行き交う道。
人と物が行き交う道。
混雑してるときは1番注意して歩かなければならない。
人にぶつかるし、迷子になるし、物落とすし。
とくに急いでるときなんて。
……あの日も少し急いでた気がする。
いや、急いでたんだよ。
なんでかわからないけど。
急いで青になった横断歩道を小走りで走ってたら、あのトラックのヘッドライトがあたし達を捕らえた。
なぜが足が止まって、誰かの『危ない!!』って言う声であたしは郁だけ押し跳ばしたんだ。
そしたらあたしだけ轢かれたんだ。
…そうだ、そうだよ!思い出した。
誰かが危ないって言わなかったら、あたしの他に郁まで酷い目にあってたかもしれない。
そう思うと、あたしだけでよかったって思うわ。