夢の外へ
「アイスコーヒーぶっかけてくれた時、これでよかったと思った。

あかりはすごい怒ってたけど、俺は嬉しかった。

不謹慎だけど、俺のことを完全に吹っ切ってくれたんだなって思った。

だからよかった」

「…あの、さ」

私は千景の話をさえぎった。

「何だ?」

そう聞いてきた千景に、私は深呼吸する。

「今は?」

「何が?」

「だから…今は、どうなのかなって」

千景の今の気持ち。

そして、私のこと。

「――今か…」

知りたかった。

でも、
「言いたくないなら…」

「今は本気だと思う」

「…えっ?」

本気?

意外な答えにビックリした。

「たぶん、本気だと思う」

「…そう」

それ以上は聞かなかった。

いや、聞けなかったと言う方が正しいかも知れない。
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