夢の外へ
「自分を責めるな。

俺がやったことだから」

「でも…」

言いかけた私を千景はさえぎった。

「さっき、片桐医師から聞いた。

お前、俺が眠ってる間ずーっとそばにいたんだってな?」

「…うん」

「3日3晩、飯も食べずにそのうえ睡眠もとらないで」

「…うん」

「で倒れて、そのまま入院。

2日間眠り込んでたって」

コクコクと、何度も首を縦に振ってうなずいた。

千景は息を吐いた。

「ごめんなさい…」

「謝るな、それ以前に自分を責めるな」

「だって…」

ポタポタと、涙がこぼれ落ちる。

言いたいことはある。

たくさんある。

でも、涙が邪魔をする。

だから、何も言えない。
< 158 / 163 >

この作品をシェア

pagetop