夢の外へ
そう考えると、私の中の迷いが消えた。

彼に言う答えは、ただ1つ。

「――いいわ」

私は彼に向かって答えを言った。

「結婚しましょう」

そう言った私に、
「そうこなくっちゃ」

冷牟田さんは口角をあげた。

「ちゃんと、あなたが私の分まで稼いでくれるんでしょう?」

続けて質問した私に、
「もちろん。

そうしなきゃ、君はイエスと言わない。

そうだろ、明日香?」

冷牟田さんが答えた。

呼び捨て、か。

…でも、仕方ない。

「そうね――千景」

私はその上辺だけの結婚に首を縦に振ってうなずいたのだから。
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