夢の外へ
大きな音に、何事かと言うように周りの視線が私たちに集中する。

愚痴を叫ぶ私とは対照的に杏樹は優雅に紅茶を飲み、話に耳を傾けている。

「ありゃ、絶対彼女と旅行に行ってきたんだよ!

でなきゃ、肌が焼けてる訳ない!」

あーも、思い出しただけでもムカつくー!

ここでいつものお決まりの私のセリフが飛び出す。

「早く専業主婦になりたーい!」

専業主婦って言っても、仕事を辞めても家事とパートを上手に両立させてチマチマと稼いでるような意味を差す言葉じゃない。

稼ぎは旦那の給料だけ、家事は全てお手伝いさん任せと言う、いわゆるセレブ妻だ。

例が我が親友、杏樹である。

彼女も彼女で、一体どうやって総合病院の院長先生と知り合って結婚したのやら。
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