夢の外へ
「ねえねえ、友達もそのパーティーに招待してもいいかな?」

そう聞いた私に、
「どうぞ」

千景は笑いながら答えた。

ウフフ、いよいよ杏樹に自慢できる時がきたわ。

私も杏樹と同じセレブの仲間入りをしたんですもの。

しかもお相手は外資系企業の社長。

とことん自慢してやるわ。


その日、私は今まで勤めた職場の仲間たちに囲まれていた。

「おめでとうございます!

石塚さん、今までお疲れ様でした」

「どうもありがとう」

そう言って、私は後輩の子から花束を受け取る。

千景との食事から1週間後、私は無事に退職した。

いわゆる寿退社ってヤツだ。
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