夢の外へ
その1、彼に干渉しない。

その2、彼の自由にさせてあげる。

その3、彼を好きにならない。

心の中で、私は言い聞かせるように3ヶ条を立てた。

私たちは、契約だけだから。

私たちは、形だけだから。

私たちは、上辺だけだから。

そう、何度も何度も自分に言い聞かせた。


引っ越しの片づけ作業が終わったのは、5時を回ってからのことだった。

「遅いし、何か食べに行くか?」

そう言った千景の提案に私は迷わずに首を縦に振ってうなずいた。
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