夢の外へ
千景と一緒にマンションを出た。

「今日は何食べる?」

出たとたん、千景が聞いてきた。

1人分空いている、彼との間。

当然、手はつながない。

…だって、当たり前でしょ?

それが、私たちの間では当たり前のことなんだから。

「この間は中華だったよね?」

私がそう言ったら、
「ああ、そうだったな」

千景はうなずいた。

こんなにも近くにいるはずなのに、すごく遠くに感じる千景との距離は気にしないことにした。
< 77 / 163 >

この作品をシェア

pagetop