夢の外へ
「何よ」

私の手を止めている千景の顔に視線を向けた。

飲み過ぎはいけないとでも言いたいの?

別に私がどれだけ飲もうが、私の勝手じゃない。

千景は唇を動かして、
「明日香の前につきあってた女だって言ったら?」

「…は?」

私の前につきあっていた女?

「…よくわかんないんだけど」

私は正直に自分の気持ちを言った。

一体、千景は何をどう言いたいのかわからない。

「気にしないか」

千景は呟くようにそう言うと、止めていた私の手を離した。
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