カワイイ上司だから
広く感じてしまうシングル・ベッドの中でひとり、いつも思うこと。
――なぜ彼じゃなきゃダメなのだろう?
「三井さんだよね?シンガポールから赴任してきた、笹岡です。
出戻りで面倒かけると思うけどよろしく」
「こ、こちらこそお願いいたします」
ペコリと頭を下げた私に、フッと破顔してくれた。
私たちが働くのは、いわゆる旧財閥系銀行。
「やっぱコッチの日差しは優しいなぁ。今から寒さが心配だよ」
3年のシンガポール赴任を経て本部へ栄転して来たのが、彼こと笹岡部長との出会い。