『若恋』短編集2
龍桜
うーん。
名前をつけろと言われても女の名前なんて浮かばねぇ。
りお、ひかる。
それは妹の名前だ。
あや、ぽぽ、
なんだか成田や、拓也から聞いたような名前だ。
うーん。
名前ってのは難しい。
いざ、名前をつけるとなるとまるで浮かばない。
「おい」
「え?」
「こっちこい。エプロンの紐が縦結びだ。直してやる」
こめかみには絆創膏。
肩から少し長い髪の毛は後ろで一本に束ねてある。
「紐くらい自分で結べねえのか?」
俺に背を向けエプロンの紐を結ばせるのは、2日前に拾った女だ。
「おい」
「え?」
「おまえ、料理できんのか?」
いきなりの疑問が湧いた。
「カレーライスならたぶん……」
「カレー?たぶん?」
なんだか不安だ。
拾って来た時も思ったが世間を全くしらない女がいきなりカレーなんて作れるのか?
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