『若恋』短編集2




「……カレーってどうやって作るかわかってるか?」

絶対わかってねえだろ。
わかったら作らせてやる。

「えっと、テレビで観たの。だからわたしにもできるかなって思って。
わたし、ここでみなさんにお世話になってるばかりでお返しができないかなって思って」


それは嬉しいが、
ちゃんとしたもんが作れねえならはっきり言って止めといた方がいい。


「肉を切って、お野菜の皮を剥いて」

「ちょい待て!皮を剥けるのか?包丁を持ったことあるのか?」

「ありません。たぶん」

やっぱな。
頭を抱えた。
世間をしらないことといい、危機感がまったくないとこも常識と違う。


「昨日、毅さんが使ってるのを見ました」

「見るのとやるのとでは違う」


卵焼きだって作れねえかもしれねえ。

こいつに任せてもいいと一瞬でも思った俺が甘かった。



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