『若恋』短編集2
隠し撮りしたりおの姿。
着物姿がとても似合っていて本当に一枚の絵のようだった。
華奢な体。
袂から覗く白く細い手。
襟足から見える艶やかなうなじ。
柔らかい笑みを浮かべ、ふわり舞う雪を見上げるりおが虹色に光り、とてもきれいだった。
満足して携帯をこっそりポケットにしまい、袂を広げているりおの背中をそっと抱き締めた。
「奏さん?」
「………」
「奏さん、どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
「変な奏さんね」
くすくす笑うりおを抱き締める。
「冷たい」
「雪を集めてたから」
りおの手が冷たかった。
これ以上冷たくさせたくなくてりおごと包み込む。
「そう、さん?」
「少し……このままでいろ」
「………」