君をいただくなんてできない
食べる気がないなんて嘘に決まってる




こうなったらもう強行突破するしかない。






「とにかく……あたしはもう行きますんで、さよなら!!!」



「ぼふっ」




さっき摘んだ花束を狼さんの顔に思いっ切りぶつけてやった。そりゃあもう、力一杯込めて。




「ひいっごめんなさいいいい!!!」



捕まったら食べられる。捕まったら死ぬ。死ぬ気で逃げねば殺される!










――――――――――


―――――





無我夢中で走った。途中で何度も転んで服がぼろぼろになった。それでもあたしは、走ることをやめなかった。




「はぁっ……は、」



気が付くと、目の前に見覚えのある家。






紛れもない、おばあちゃんの家だった。



「……っ着いた!!」




後ろを振り返っても誰の気配もしない。あたしは安堵のため息をついた。





「助かった……っ」


< 13 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop