君をいただくなんてできない
「あたしこれからおばあちゃんに薬を届けに行くの」
青い小鳥とお話しながら、ふと気付く。
「やっぱり……、手ぶらで行くのは失礼よね」
お花でも持っていくべきかしら。
くるり踵を返す、……でも。
「結構歩いたし……今さら戻るのもなぁ」
一番近いお花屋さんでも、ここから最低30分は掛かる。森を抜けなきゃいけないし、……面倒くさい。
「っ、よし!」
拳を握って意気込んでから、その辺に咲いていた花を引っこ抜いた。
ブチリ、ブチリ、残忍な音があたしの耳に響く。こんなの誰かに見られたら怒られちゃうかな。
いけないとは思いつつも、あたしは目の前の可憐な花を抜き続けた。
「んしょ、と」