君をいただくなんてできない
うん、こんなもんかなー。
花束を軽く揺らせば、色とりどりの花は綺麗に踊る。
「っ、!」
いったぁあああ。
花の棘で切っちゃったみたい。指先からぷくーっと血が溢れ出る。いたた。
血で染まった指を気にしながら篭の中を漁る。確か絆創膏があったはず……。
「あれー?」
おかしいな、いつもは入ってるのに。
篭の中をがさがさ探しても絆創膏らしきものは見つからない。指先を見ると血がどくどく出続けている。
「もー最悪……」
「お嬢さん、」
「え」
ふいに頭上から声がして弾かれたように顔を上げる。
「!!!!!」
目の前にいたのは……狼。