君をいただくなんてできない



うん、こんなもんかなー。




花束を軽く揺らせば、色とりどりの花は綺麗に踊る。






「っ、!」



いったぁあああ。




花の棘で切っちゃったみたい。指先からぷくーっと血が溢れ出る。いたた。






血で染まった指を気にしながら篭の中を漁る。確か絆創膏があったはず……。




「あれー?」






おかしいな、いつもは入ってるのに。



篭の中をがさがさ探しても絆創膏らしきものは見つからない。指先を見ると血がどくどく出続けている。







「もー最悪……」





















「お嬢さん、」




「え」






ふいに頭上から声がして弾かれたように顔を上げる。



「!!!!!」






目の前にいたのは……狼。




< 4 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop