君と私のsubtext
「ついてこないで」

「どうして?やましいことでもある?」

「何もないっ」

「じゃあ、いいじゃん」


足を止めて振りかえる。





「あんたと、一緒にいたくない」





私は睨むように見つめる。

私の言葉を、刃物にかえてしまう男を。


「友達、て言ったのはそっち」

「語弊だった。ていうか、もう何年も前の話だし。他人に訂正する」

「他人とこんな風に口きくんだ、佐伯は」

「じゃ、これ以降は無視する」

「ひどい女」

「むーしっ」
「うわ。ばっか」


思わず顔が赤くなる。


「馬鹿じゃないっ」

「無視、て普通擬音で使わないし」

「うるさいなっ。話しかけるな」


私は顔を赤くしたまま歩き出す。

その隣に、あいつはくる。
速足にしても、ついてくる。


「こないでよ」

「どうして?」

「うざい」

「答えてよ」

「こないで、てば」


瞬間、はっとした。
< 21 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop