君と私のsubtext
自販機の灯りは、夜になるとこんなに激しんだな、とよく思わされる。

大学に入って、一番に印象に残った発見。





ちゃりん、と小銭を通す音。


ごとん、とペットボトルが落ちる音。





夜の世界に、それがやたらと響く。

私は落ちてきたペットボトルをもつと、同じ動作を繰り返す。

人数を考えて、三本買ったところで振り返る。



「―――っ」



あいつは、そのまま自然な流れで私の腕からペットボトルを取り上げる。

腕に抱えていっぱいいっぱいだった私に対し、あいつは軽々と両手と片脇。むかつく。


「余計なこと、しないで」


歩き出したあいつの後を歩きながら、ぽつりと言う。


「友達に気を使っただけ」





そんな気遣い、いらない。


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