君と私のsubtext
「このスケジュール、どうなの」


つい本音がもれれば、真鍋さんも苦笑する。



「仕方ないよ。会長が何も考えてないから、慌てて岸先輩が裏で組んだんだって」



のんきな顔して会長席で煎餅を頬張るアホ会長と、信頼厚く人気の高いバスケ部のエースで副会長の岸先輩が頭に浮かぶ。


アホだけどどこか面白くて人の気を引く会長と、何でもソツなくこなしその上女子からも男子からも人気のある優秀な副会長。


バランスのとれた二人――というのが、当時の印象。


私としては生徒会が滞りなく機能し、私の通知表に汚点を残さなければどうだってよかったから、そんな学校の有名人と同じ空間で仕事をしていても気にならなかった。


過密とはいえうまく組まれたスケジュール表を四角にたたみ、私は真鍋さんに挨拶して教室に戻った。






「二組は演劇希望か。今年は多いな」


「演劇もいいけどやっぱダンスが一番派手だよなー」


「会長ができるのは精々ボックスステップくらいでしょ」


「バカにするな。吾輩はワルツからブレイクダンスまでマスターしておる」


「「嘘くせー」」


「これこれ。見てもないのに」



放課後の生徒会室は会長を筆頭ににぎやかだ。


とはいっても、基本的に頭もいい集団なので、その手の動きは止まっていない。

止まっているのは会長だけだ。


…まあ、意味もなく扇子を扇いでいるって意味なら止まってないけど。
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