君と私のsubtext
「佐伯佐伯」


「……なんですか?」



輪から外れてカタカタとパソコンに向かっていると、椅子ごと会長がよってきた。

少しめんどくさい。


ちなみに愉快な会長以外は、私をちいと呼ぶ。

任命式の後の顔合わせで、会長に命名された。
命名しといて自分は苗字呼びとか、意味がわからないが。

会長曰く、親しき仲にも礼儀ありだそうだ。


全く礼儀はなっていないと思うけど。



「お前の権限で拙者のダンスをプログラムに組み込みたまえ」


「…書記に言ってください」



私は会計だ。



「佐伯ちん、つまんねーなー。ほら、うさぎさんですよー」


「…何がしたいんですか」



なぜかファンシーなウサギの写真が表紙のノートを押し付けてくる、会長。


ああ、本当にめんどくさい。



「もー。佐伯は仕事好きすぎだ。眉間にシワ寄せて、某刑事ドラマの偉い人みたいだぞ。確保だー」


「…いい加減仕事しましょうよ」



予算を振り分けながら相手をするのも疲れてきた。


そろそろガツンと言おうと、体を会長に向けた。




「――――」
< 59 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop