君と私のsubtext
会長の後ろに、岸先輩が立っていた。


指に手を当てて、静かにって合図をしている。

周りもそれに気づいて、忍び笑いをしていた。


会長が悦に入って一人で楽しげに話している。


岸先輩は私に目配せすると、右手を挙げた。
その手には、ハリセンが握られている。


生徒会の神器だとかよくわからない、会長の私物その一だ。



意図はわかった。


ハリセンでたたいて驚かそうとか、そういう魂胆だろう。



なのに、よくわからない。


あの目で、見られて。

あの合図で。



自分でも、よくわからない。




「会長」


「何だね?」


「頭に気を付けてください」


「は?―――あだっ」



会長は悲痛な声をあげて、頭をおさえた。


言っても無駄っていうのを、如実に体現している。別な意味で。



「ちいちゃん言うなよー」


「ま、結局ぶたれてっけどな」



生徒会室に笑いが起こる。


でも、どうしてだろう。



私は目をそらすようにパソコンを見る。

その中心から、目をそらすように。
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