君と私のsubtext
「ちいちゃんって、岸先輩が嫌いなの?」


「え?」



さすがに現状がよろしくないと思ったのは、真鍋さんと三年生に配る当日のパンフレットをコピーしている時だった。


会計なんて予算割振り終わって領収書がくるまでは、大抵暇だ。

だからやりたまえ、と会長に命令された。


どの空間でも会長という存在は、鬱陶しい。



「…なんで?」


「だって、ちいちゃんくらいじゃない?岸先輩と会話しないの」


「そう?」


「うん。だって岸先輩って生徒会室でいつも誰かと話してるじゃない?ていうか、一人でいるとこ見たことないし」


さすがにそれは誇張しすぎなんじゃないかと思うが、言いえて妙だった。



岸先輩の周りは、いつも人であふれている。

仁徳なのか何なのかわからないけど。


そしてその中にいるのに私と目が合うことがあると、きちんと挨拶をくれる。


だけどいつだって、うまく返せない。



「岸先輩かっこいーじゃん。同じ生徒会なんだし、話した方が得じゃない?」


「興味ないな、そういうの」


「ふうん。ちいちゃんてクールだね」


返す言葉に困って、苦笑いだけ浮かべだ。
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