君と私のsubtext
そして最大級に困ったのは、当日だった。


「ちい、四組揃ってる?」


「…はい」


「じゃあ、司会の合図で入れるように袖空けといて」


「…はい」



両袖に別れて待機する組と、裏で監督していざというとき指示出す会長組と、進行がスムーズに進むように時間見ながら呼び出す組と――本番というのは、仕事が想像していたよりないようであるので、チーム分け(そんな大層なものじゃないけど)発表がされた時に、右側の袖に岸先輩と私だけが待機としって、正直当日休んででも逃げたくなった。


とはいっても、国立大目指して努力を続ける身としては、病気でもないのに休んだ上に他の役員に迷惑をかけるのは気がひけた。


自分が我慢すればいいことなんだ。


割り切って、予餞会当日、会場の舞台袖で奔走した。



「これで前半終了か」


絶妙なトークで放送部の司会が会場の笑いを攫っている。


予餞会は無駄に市のホールをかりてやるので、舞台袖は少しくらい。


濃淡のついた岸先輩の横顔に少し疲労が見える。

当たり前だ。
今日まで忙しかったのだから。


私は掠れたような声で、そうですね、と返した。



ちなみに会長の愉快なダンスは他の役員によって葬り去られ、この後の後半の頭で生徒会と有志によるバンドが演奏される。


ちなみに会長がボーカルで、岸先輩がギターらしい。


私は不参加で、その間裏で次の部活の指示だしを頼まれている。
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