君と私のsubtext
「ごめん」




ガラステーブルの向こう、横を向いた私に、あいつは謝罪の言葉を向けてくる。



その響きでちゃんと謝られているのはわかったけど、寝ぼけて昔みたいにキスされて、正直こっちはもう無理、て心境で。




横を向いて突っぱねているしか、できない。




「悪かったよ、佐伯。寝起き悪いの、治ってないの。ごめん」





寝起き云々で済むかっ。


朝から、朝からあんな…濃厚な……っ。





「佐伯?」


「う、わっ―――」





近距離で顔を覗き込まれ、あわててのけぞった。


その瞬間、背後にあった本棚にぶつかり、痛みに悶絶する。


偏頭痛で苦しんでいるというのにっ。
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