君と私のsubtext
「はなしてっ」



振り払おうとして力を込めた腕は、逆に強く握りこまれて動きを封じられる。


そのまま、あいつが足を踏み出して私との距離を埋める。


気づけばあいつの影の中にいて、逃げようと後ずさりかけても残りの手まで捕まれ逃げられない。




やだ。やだやだ。

もう、あんな、ぐちゃぐちゃの感情を抱きたくない。


ナイフのような言葉を、吐きたくない。




思わず俯く私の上に、あいつの吐息が届く。






「ちぃ」

「っ」











「今日さ、学校さぼってどっか行かねぇ?」









一瞬、思考が停止した。










「は、ぁ?」





こいつ、何言ってるの?



混乱する私をよそに、目の前で財布と携帯をそれぞれ上着やジーンズのポケットに突っこんで、あいつは満足そうに笑みを浮かべてみせる。
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