夏虫
「その後に、竹ノ内の友達が蒼井に一目惚れしたって、聞いてさ。その一目惚れした奴がファンクラブを立ち上げたって、竹ノ内が言ってた」


あたしの頭は混乱していた。あたし、今年も平和な1年を過ごすつもりだったのに。

計画が完全に狂っちゃった。

「ちなみにファンクラブってそんなに有名なの?…、平和に静かに1年過ごしたいんだけど、それは無理そうなのかなぁ…」

何かかなりショックで脱力感と不安が肩にのしかかる。

朝比奈は静かに笑った。あたしの頭をポンポンと叩いた。大きなあたたかい手のひらだった。
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