キミが望むのなら


「自販機のジュースだけじゃ美樹の気がすまないよぉ!そこの喫茶店で何か奢るから行こぉ~~?」



美樹も美樹で引き下がらない。


そんな美樹に負けたのか……


「じゃあ、ごちそうになろうかな」


そう言った彼。


チャラそうな見た目の割に、中身はしっかりしてるんだな―……



さて、美樹の方もなんとか纏[まと]まったみたいだし。


「美樹、あたしそろそろ行くね」


「あっ、うんっ。ごめんねぇ。篤史君によろしくぅ~~」



「はいはい」


これから美樹の被害にあうであろう信二君に、情けの意味も込めて少しだけ頭を下げてそこを後にした。



――♪~♪~~♪


篤志との待ち合わせに向かっていると、鳴り出した携帯。


「……はい」


『遅い、何してんの』



第一声がそれかよ……


なんて心の中で悪態付きながら、黙って次の言葉を待つ。




< 10 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop