キミが望むのなら


「……悠君」


「ん?」


「そ、その……手」


あぁ―……


抱きしめるのをやめた後も、握ったままの手。


「痛い?」


「い!いや!痛くはないんだけど……。その恥ずかしい///」


だんだんと小さくなる声。


なんか……かわいい。


「ははっ」


「え!?なんで笑うの!?」


「なんでもないよ」


やっぱり、かわいいな……


「あっ、頬冷やした?」


「うん。冷やしたから、少し腫れも引いた方なんだよ?」



それでもこれは酷い。


きっと痛くてたまらないと思う。


そっと痛くないようにその頬に触れると、ビクッと体を震わせた桃香ちゃん。


本当に許せない。


昔から、感情はそこまで激しくない方だった。


でも、こんなに怒りを感じたのは初めてだ。






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