キミが望むのなら
あっ、ピーチ味だ。
「おいし?」
「っ///!!」
アメを舐めているあたしを覗き込むようにして、視線を合わせてきた悠君。
あ……危ない……
もう少しでアメ、吹き出すところだった……
本当に悠君って、あたしを動揺させる人だ……
前のあたしは、こんなんじゃなかった気がする。
何かに興味を持ったり……
誰かに動揺させられたり……
こうやって、男の子とベンチで2人並んで話したり……
こうやって、その人と笑い合ったり……
こんなこと、あたしの生きてきた人生の中でない。
「また下見てる」
「え?」
「もうそれ、桃香ちゃんのクセみたいだね」
「あっ……ご、ごめん」
「あっ、謝ることじゃないよ。ただ、初めて会った時もそうだったからさ」