キミが望むのなら


「痛ぇ~~」


殴られた頬を押さえながら、倒れていた篤志が起き上がる。


そんな篤志を気にも留めず、あたしの元に駆け寄ってきてくれる……悠君。



「……ゆ、うくん」


「桃香ちゃん、大丈夫?」


「な、んで……」


驚きと、喉がからからに乾いているせいで、うまく声が出ない。


そっとあたしを抱き起こして、肩を支えてくれる。



「美樹ちゃんに場所、聞いたんだ。それより早くここから……」


「おいっ!!てめぇ~~」


――ドカッ


「きゃあっ!!」


あたしの肩を支えてくれてた悠君が、篤志の手に寄って殴られた。


「やっ、ヤダっ!!やめてよっ!!」


すぐに駆け寄り、篤志と悠君の間に立ちはだかる。



「桃香っ!!どけよっ!!」


「イヤっ!!絶対にどかないっ!!」


「そいつだろ!?桃香をたぶらかしたのはよっ!」


「たぶらかされてなんかないよっ!!でも、悠君があたしに自分の存在価値を気付かせてくれたのっ!!」






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