キミが望むのなら


「桃香ちゃん……」


悠君が初めてだった。


あたしのことをほめてくれたのも、ちゃんと理解してくれようとしたのも……



「だから悠君には手を出さないでっ!!」


「っ!!桃香っ……お前っ!!」


ヒュッと右足が宙に上がった。


っ……蹴られる!



「桃香っ!」


え……?


ギュっと抱きしめられ、そしてその体を通して鈍い音が体に響いた。


「っ!!悠君っ!!」


あたしを庇って悠君が蹴られた……



苦しそうに顔を歪める悠君。


「あっ……悠君っ!悠君っ!!」


どうしよう、どうしようっ!


あたしのせいだ……


あたしが、電話したから……


あたしが、篤志を怒らしたから……


後悔と悠君の心配で、目の前が滲んでくる。


「大丈夫だから……、ね?大丈夫……」


そう言って苦しそうに笑う悠君。




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