キミが望むのなら
「大丈夫だよ。それより悠君が……」
「はぁ―……マジ何なの……?勝手に人の家に上り込んで」
……篤志。
「なっ!!あんたよくも桃香を……」
――ドカッ!!
「え?」
美樹がキレて篤志に駆け寄るのよりも先に、信二君が篤志を殴った。
しかも、すごい勢いで……
「これ、桃香ちゃんと俺の親友を殴った落とし前な」
ニコッと笑顔でそう言った信二君。
「……ほら、帰ろう」
何も言わず、座ったまま俯いている篤志。
そんな篤志をシカトして、悠君の肩を支えるように信二君が立たせる。
「桃香も……行こ」
何も言わず俯いている篤志が少し気なったけど、美樹が差し出してくれた手を掴んだ。
部屋を出て行こうと靴を履き、美樹がドアを開けてくれた。
「悠、行くぞ」
「あぁ……と、ちょっと待って」
……え?
信二君を止めた悠君。
その言葉にあたしと美樹も止まって振り向いた。