キミが望むのなら


「お前さ、桃香ちゃんのこと好きならもっと大事にしてやれよ」


「……」


「こんな風に好きな女、泣かせるな」


「チッ……」



……悠君。


脇腹を押さえて、そう言った悠君の言葉に、また涙が零れそうだった。



篤志は……小さく舌打ちをしただけだった。


でも、それがとても悲しく見えたのは、あたしだけかな……


――――――――――……


「はい」


「あ、ありがとう。美樹ちゃん」


「はい、桃香も」


「ありがと」


あれからすぐに、美樹が家にあたしたちを連れて行ってくれて、冷たいタオルを持ってきてくれた。



「それにしてもぉ~、派手にやられたねぇ~~」


救急箱から湿布を取り出して、信二君に手渡す美樹。



「あぁ―……って!!信二!もう少し優しく貼れよっ!!」


「うるさいなぁ。助けてやった恩人に文句言うな」



信二君が悠君の脇腹に湿布を張りながら、ブツブツと言い合う。




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