キミが望むのなら



「まぁ、それだけ文句が言えれば大丈夫だな」


ホッとしたように信二君が吐いた言葉に、自然と涙が出てきた。



「え……?桃香ちゃん……?」


そんなあたしに気付いた悠君が、心配そうにそばに寄ってくる。



「ごめんなさい、あたしのせいでそんなケガさせて……。あたしがあの時悠君に助けを求めたから……」


だから悠君は、こんな大ケガを……


「それは違うよ。俺が桃香ちゃんを助けたくて、自分の意志でそこに行ったんだから……」


「でもっ……」


――ギュっ


……え



「はぁ―……ごめん。今頃になってちょっと気が抜けてきた……」


あたしを抱きしめたまま、悠君が深く息を吐く。



「よかった……、桃香ちゃんが無事で……」


「っ……」


あたしの心配、してくれたの……?


こんな大変な目にあったのに、自分のことじゃなくてあたしのことを……






「俺、桃香ちゃんを助けてあげられてよかった」




ねぇ、どうしよう。


あたし……




悠君が本当に好きで仕方ないよ―……




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