キミが望むのなら
決断の時‐悠Side‐
「悠さん、この着物の裄直し[ゆきなおし]のことなんだけれど……」
「あっ、はい」
学校から帰ってきて、制服のまま明日の展示会の準備を行う。
「明日、皆さんに正式な跡取りとして紹介するんですから、きちんとしてくださいね」
「……わかってます」
明日の展示会は、俺の正式な跡取りとしての紹介も兼ねてある。
「美智花さん、この贈呈品用の準備はできてるかしら?」
「はい、それはですね……」
美智花さんと話し込むおばあ様。
今のうちに明日の展示品の最終チェックをするか。
裏の方に回り、ふと通学カバンに入れっぱなしだった携帯を開く。
あれ?
信二から連絡来てる……
まぁ、どうせあいつのことだからしょうもないことだろう。
と思いつつ、掛け直そうと画面をスライドしようとした瞬間……
――ブルブルッ
「うおっ!!」
マナーにしたままの携帯が震える。
え!?
桃香ちゃん!?