キミが望むのなら
きっとあいつに……篤志とかいう男に切られたんだ。
ほんの一瞬だったけど、そいつだって分かった。
冷たく鋭いあの声……
俺と初めて会った時と同じ、怒りを含んだ声だ。
俺はもう一度携帯を握りしめ、電話を掛けた。
『もしもし?悠?お前さ~あのアメって~……』
「信二っ!!美樹ちゃんの電話番号教えろっ!!」
『は?』
電話口から聞こえてくる陽気な声を遮って、要件を言った。
「頼むっ!!事情は後で話すからっ!!すぐに美樹ちゃんの……」
『お、おいっ!悠、落ち着けって……。美樹ちゃんなら今隣にいるけど?』
隣にいる……?
「代わってくれ!!」
『あっ、あぁ―……うん。そう、悠』
「美樹ちゃんっ!!」
早く出てくれ!!
『はいはぁ~い。美樹だよぉ~~』
信二と同じく、こっちも陽気な声。
「桃香ちゃんの彼氏の家の住所分かる!?」
『え!?元彼の!?って、桃香に何かあったの!?』