キミが望むのなら
「ごめん、今事情を説明してる時間はないんだ。頼む!知ってるなら教えてくれ!!」
『う、うん。一度だけ桃香に場所聞いたことあるから……』
そう言って場所を説明してくれる美樹ちゃん。
俺はジッとしたまま聞くことが出来ず、美樹ちゃんの説明を聞きながら外に走り出していた。
頼む!
桃香ちゃんが傷つくのだけは、もうイヤなんだ。
この前みたいに、俺が助けられずに、桃香ちゃんが傷つくのを見るのは嫌なんだっ!!
俺……桃香ちゃんのこと……
――好きだから、守ってやりたい……
気付いた気持ちに押されるように、必死にそいつのアパートまで走った。
アパートの場所がそこまで遠くない近所だったことに少し感謝し、そのアパートの階段を上った。
――バンッ!
「桃香っ!!」
鍵の開いたままのドアを思いっきり開ける。
するとすぐに目に入った光景に、息を呑む間もなくそいつに殴りかかった。
「っ!!何してんだよっ!!」
人をこんな本気で殴るなんて初めてで、殴った右手がヒリヒリと痛む。
苦しそうに空気を吸い込む桃香ちゃんに駆け寄る。