キミが望むのなら



「……ゆ、うくん」


うるんだ瞳が、桃香ちゃんの苦しさを表しているようだった。



「桃香ちゃん、大丈夫?」


「な、んで……」


声がうまく出ないんだな……


肩をそっと支え、抱き起した。


「美樹ちゃんに聞いたんだ。それより早くここから……」


出ないと……



「おいっ!!てめぇ~~」


――ドカッ!


っ!!


頬に飛んできたこぶし。


「きゃあっ!!」


桃香ちゃんの悲鳴が、部屋中に響く。



「やっ、ヤダっ!!やめてよっ!!」


桃香ちゃんが俺を庇うようにして、俺とあいつの間に立つ。



「桃香っ!!どけよっ!!」


「イヤっ!!絶対にどかないっ!!」


「そいつだろ!?桃香をたぶらかしたのはよっ!」


「たぶらかされてなんかないよっ!!でも悠君があたしに自分の存在価値を気付かせてくれたのっ!!」







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