キミが望むのなら
「大丈夫だよ。それより悠君が……」
こんな時まで俺の心配をしてくれる。
本当に、優しすぎるんだよ……
「はぁ―……マジ何なの……?勝手に人の家に上り込んで」
「なっ!!あんたよくも桃香を……」
――ドカッ
「え?」
篤志がポケットに手を入れたまま、あいつを蹴った。
「これ、桃香ちゃんと俺の親友を殴った落とし前な」
ニコッと笑顔を見せたが、こいつの蹴りは恐らく相当痛いだろう。
何てったって、こいつ中学でサッカーの県代表ベスト11に入ったほどすごい奴だ。
キック力には、すごい自信があることだろう。
「……ほら、帰ろう」
俺を支えるようにして立たせ、美樹ちゃんが桃香をそっと支えた。
「悠、行くぞ」
「あぁ……と、ちょっと待って」
俯いたまま出て行こうとする俺たちに、何も言わないあいつ。
それが少し気になって、信二を止める。