キミが望むのなら



「お前さ、桃香ちゃんのこと好きならもっと大事にしてやれよ」


「……」


俯いたまま、何も言わない。



「こんな風に好きな女、泣かせるな」


「チッ……」


小さく舌打ちをしたのが聞こえた。


こいつ、きっと桃香ちゃんのことを好きだったと思う。


なんかそんな気がした。



きっとこいつは、愛し方を間違えたんだろう―……


愛しすぎて、愛し方が分からなくなったのかもな……


だからって、桃香ちゃんを殴ったことは絶対に許さないけど。






「はい」


「あ、ありがとう。美樹ちゃん」


あれからみんなで美樹ちゃんの家にお邪魔した。


すぐに俺と桃香ちゃんの為に、救急箱と冷たいタオルを持ってきてくれた美樹ちゃん。



「それにしてもぉ~、派手にやられたねぇ~~」


あっ、美樹ちゃん、また話し方戻ってる。


それほどさっきは必至だったんだろうな……


桃香ちゃんの為に……



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