キミが望むのなら


――ピタッ、バシッ



「あぁ―……って!!信二!もう少し優しく貼れよっ!!」


湿布を貼った後に、バシッと叩かれた脇腹。



「うるさいなぁ。助けてやった恩人に文句言うな」


だからって蹴られたところを叩くなっ!!



「まぁ、それだけ文句が言えれば大丈夫だな」


そう言った信二の言葉を聞いた時、桃香ちゃんがぽろっと瞳から涙を零したのが見えた。


「え……?桃香ちゃん……?」


泣いている桃香ちゃんに焦り、駆け寄る。


「ごめんなさい、あたしのせいでそんなケガさせて……。あたしがあの時、悠君に助けを求めたから……」


あぁ、ホッとしたのかな……?


でも優しいから、俺のケガに責任を感じているんだよね?


「それは違うよ。俺が桃香ちゃんを助けたくて、自分の意志でそこに行ったんだから……」


「でもっ……」


――ギュッ


「はぁ―……ごめん。今頃になってちょっと気が抜けてきた……」



桃香ちゃんを見てると、力が抜けるように抱きしめていた。



「よかった……、桃香ちゃんが無事で……」


「っ……」


少し手が震える。


ダサいな……俺。




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