キミが望むのなら


立ち上がって足早に部屋を出ていく桃香ちゃん。


「えっ!?ちょっ!!桃香ちゃん!?」


咄嗟に俺も立ち上がり、部屋を出ようとする。


「あっ!ちょっと待って!!」


美樹ちゃんによって掴まれた腕。


「桃香のことよろしくねっ♪」


「え?」


ニコッと微笑んで、そう言ってくる。


「桃香があんな風に素直に泣いたの、美樹も初めて見たんだぁ~。だから悠君なら、桃香を任せられるかもっ♪」


「桃香ちゃん……」



「あっ、でもぉ~、桃香のこと大事にしなかったら許さないから……」


――ゾクッ


一気に消えた笑顔に、背筋に寒気が走った。



「うふっ♪じゃあ桃香をよろしくぅ~~」


美樹ちゃんって、本当はすごく強[したた]かな女の子なのかもな……


信二も大変な子に、好かれたなぁ―……



なんてしみじみ思いながら、桃香ちゃんを追いかけた。


「桃香ちゃんっ!!」


美樹ちゃんの家を出て、すぐに追いついた。



「え!?悠君!?」




< 165 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop