キミが望むのなら
立ち上がって足早に部屋を出ていく桃香ちゃん。
「えっ!?ちょっ!!桃香ちゃん!?」
咄嗟に俺も立ち上がり、部屋を出ようとする。
「あっ!ちょっと待って!!」
美樹ちゃんによって掴まれた腕。
「桃香のことよろしくねっ♪」
「え?」
ニコッと微笑んで、そう言ってくる。
「桃香があんな風に素直に泣いたの、美樹も初めて見たんだぁ~。だから悠君なら、桃香を任せられるかもっ♪」
「桃香ちゃん……」
「あっ、でもぉ~、桃香のこと大事にしなかったら許さないから……」
――ゾクッ
一気に消えた笑顔に、背筋に寒気が走った。
「うふっ♪じゃあ桃香をよろしくぅ~~」
美樹ちゃんって、本当はすごく強[したた]かな女の子なのかもな……
信二も大変な子に、好かれたなぁ―……
なんてしみじみ思いながら、桃香ちゃんを追いかけた。
「桃香ちゃんっ!!」
美樹ちゃんの家を出て、すぐに追いついた。
「え!?悠君!?」