キミが望むのなら
「家まで送るよ」
「あっ、大丈夫だよ?1人で帰れるし……」
「いいから、送る」
「う、うん……」
ふんわりとしたブラウンの髪を、そっと耳に掻き分ける。
その仕草に、目を囚われた。
な、なんだよっ……これ。
好きだって自覚したとたんに、こんなにドキドキが増すのか!?
「あの……」
「んっ!?」
や、ヤバッ……
少し声裏返った。
俺、ダサすぎる……
「本当に今日はありがとう……」
「あっ、うん」
「あたし、あのままじゃまた篤志の言いなりになってたよ。それでまた自分に自信を無くすところだった」
「桃香ちゃん……」
「悠君はあたしのヒーローだねっ!!」
あぁ、この笑顔だ。
俺が守りたかったのは、この笑顔。
俺の、好きな笑顔だ―……