キミが望むのなら
「……い、おいっ!悠っ!!」
「……え?」
ボォ―ッとする視界に映り込んできた信二の顔。
「はぁ―……マジ焦らせるなよ……。何してんだよ、こんなところで」
「あぁ―……」
「あぁ―……じゃねぇだろ」
いつものベンチに座っている俺の隣に、信二は座ってくる。
「信二こそどうしたんだ?こんな時間に……」
「美樹ちゃん家からの帰り。たまたま近道でここ通ろうかと思ったら、お前が死んだようにベンチに座ってたからさ~」
「あぁ、悪い」
そりゃあビックリするよな……
「どうした?何かあったか?」
「まぁ、ちょっと家出」
「は!?お前が!?」
「そ、俺が」
俺もこの家に来てからは初めてのことだけど。
「……詳しくは聞かないけど、とにかく落ち着くまで俺ん家くるか?」
「いいのか?」
「さすがにケガ人のお前を、ここに置いておくわけにはいかないだろ」
「……サンキュ」
俺は信二に相当お世話になっている気がする。
今日だって信二が途中で助けに来てくれたから、そんな酷いケガにならずに済んだしな……