キミが望むのなら


―――――――――――――……


「じゃあ行ってくるな」


「はいはい。行ってら~~」


信二の家に置かせてもらうこと、約1週間。


帰らなといけないんだろうけど、帰りにくくてこの調子。



さすがに服とか、勉強道具を取りに家に帰ったけど、おばあさまには会わないようにしてまた家を出た。


『友達の家にいます』


と、一応置手紙をして。


まぁ、どうせ心配もしてないだろうけど……



「桃香ちゃん」


「悠君!」


桃香ちゃんとは相変わらず毎日会っている。


でも、家出していることは話していない。


話しにくいし、何より心配をかけたくない……


「そろそろ夏が終わるからかな。少し肌寒い」


「うん……そうだね……」


隣同士に座って、月を見上げる。


これが俺たちの日課。


「毎日ここに来て大丈夫なの?お母さんとか心配しない?」


女の子がこの時間に一人歩きは危険だろうし……


さすがに帰りは俺が近くまで送って帰るようにしてるけど……



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